この記事で分かること
- 金利の見直し通知が来たとき、最初に変わったもの(返済額ではありませんでした)
- 賃料で吸収できるか。大阪市の成約データと、自分の2部屋で確かめたこと
- 繰上返済と売却について、いま何を選び、何を待っているか
「日銀の利上げで、ローンの返済額が増えて赤字になるのでは」
金利のニュースを見るたび、そう思う方は多いと思います。自分もそうでした。
大阪市内にワンルームを2部屋持っている、50代の会社員です。FP3級を取り、簿記3級を勉強中。専門家ではありません。
先日、投資用ローンの金利見直しの通知が実際に届きました。 そのとき何が起きたのかと、いま自分に何が動かせて、何が動かせないのかを並べてみます。同じように持っている方の、参考になれば。
金利が上がって、最初に変わったのは「内訳」だった
構えて口座を見たのですが、毎月の引き落とし額は変わっていませんでした。
自分のローンには5年ルールと125%ルールが付いていました。金利が変わっても毎月の返済額を5年間据え置き、6年目に見直すときも増加は1.25倍までにする、という仕組みです(楽天銀行の用語集)。
ただし、据え置かれるのは返済額だけで、利息の計算は止まりません。
同じ額を払っていても、利息に回る分が増え、元金の減りが遅くなります。 つまり、当初の想定より残高が多く残る。通帳を見ているだけでは何も起きていないように見えますが、中身は動いていました。
通知が来たとき「いくら増えるんだろう」しか考えていませんでした。額が変わっていないと分かって、一度ほっとしたんです。
でも中身を見て、ほっとしていい話ではなかったと気づきました。減りが遅くなった分は、消えるわけではありません。先に残るだけです。
6年目に見直されたら、いくら増えるのか
据え置きは5年で終わります。そこで、条件を置いて計算しました。
借入残高1,500万円・残存20年・元利均等・ボーナス返済なしで、金利が+0.5%上がった場合です。
| 開始金利 | 月返済(前→後) | 月の差 | 年の差 |
|---|---|---|---|
| 1.5% → 2.0% | 72,382円 → 75,883円 | 3,501円 | 42,008円 |
| 2.5% → 3.0% | 79,485円 → 83,190円 | 3,704円 | 44,450円 |
| 3.5% → 4.0% | 86,994円 → 90,897円 | 3,903円 | 46,837円 |
月におよそ3,500〜3,900円、年で4万〜4万7千円。
毎月がトントンか数千円の黒字という運用だと、この幅で持ち出しに転じます。額としては小さく見えますが、見えにくい差が元金残高へ積み上がり、5年後の返済額見直しや、その後の返済に効いてきます。
なお日銀は2026年6月16日、無担保コールレートの誘導目標を0.75%程度から1.0%程度へ変更しました。月次統計でも1〜5月の0.727%から6月は0.976%へ動いています。ただし、政策金利が上がった分だけ自分のローンが上がるわけではありません。 見直しの時期も幅も、契約によります。
賃料で吸収できるか。大阪の数字と、自分の2部屋
金利上昇に対抗する手段は、まず賃料です。今回のように、物価上昇を背景に金利が上がる局面では、賃料も同じままとは限りません。
大阪市の数字を見ました。三井住友トラスト基礎研究所のマンション賃料インデックスによると、2026年第1四半期は前年同期比で大阪市全体が+1.4%、シングルタイプは+4.5%。募集ではなく、実際に決まった成約賃料の指数です。
単身向けの+4.5%は、相場7万円なら約3,150円。さきほどの月3,500〜3,900円と近い水準です。理屈の上では、賃料でかなりの部分を吸収できます。
では自分の2部屋はどうか。
- 北区:周辺相場より1万円ほど安いまま。上げる余地があります
- 浪速区:去年、一度上げました。 ただし今は相場の方が追いついてきています
余地はある。市場も味方している。それでも、いま上げてはいません。
2部屋とも入居中で、退去の予定がないからです。
法律上は、入居中でも増額を求める余地はあります。借地借家法第32条には、賃料が不相当となったときは「契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって」増減を請求できるとあります。ただし同条2項では、協議が調わない場合、請求を受けた側は裁判が確定するまで「相当と認める額」を払えばよいとされています。こちらの希望額が、その日から通るわけではありません。
ここが金利と決定的に違うところでした。
金利は、契約の見直し条件に従って動き、通知が来ればこちらで止めることはできません。 賃料は、請求はできても話し合いが要る。 空室リスクを取ってまで、いま動かす理由は自分にはありませんでした。
だから次の更新か入退去のタイミングで見直すと決めています。
なお通知のあと、買った会社にも連絡して、金利で何が変わったのかと、今の大阪の市況を聞きました。自分のローンの話と、外の相場の話を、両方確認したかったからです。
持ち続けるか、手放すか
賃料がすぐ動かない以上、次は「そもそも持ち続けるのか」です。
価格は、収益から考える
不動産の価格を考える方法のひとつに、不動産が生み出す収益から価格を考える「収益還元法」があります。
収益価格 = 年間純収益(NOI)÷ 還元利回り
NOIは、年間賃料から管理費・修繕積立金・固定資産税・保険料・空室損などを引いたもの。ローンの返済額は含めません。 還元利回りが上がれば価格は下がります。金利上昇局面では利回りも上がりやすいと言われますが、必ずそうなるとは限りません。
一般に、持ち続けやすいのは駅が近く、空室が出てもすぐ埋まり、賃料を上げても借り手がつく物件。手放すことを考えるのは駅から遠く競合が多い、設備が古く賃料を下げないと埋まらない、修繕積立金の値上げが控えていて収支改善が見込めない物件です。
ただ、これを「駅徒歩◯分以内なら安心」のような万能の基準にはしないようにしています。立地・築年・空室・管理・修繕積立金・賃料の余地・今の売却価格を、同じ表に並べないと判断できない。 持ってみて分かったことです。
繰上返済は、一度考えてやめました
返済額を下げるなら、返済額軽減型の繰上返済があります。期間を短くする期間短縮型と違い、毎月の額そのものを下げるやり方です。
考えました。でもやめました。
自分のローンは、繰上返済に最低100万円が必要だったからです。100万円を動かすなら、繰上返済に充てるか、別に置くか。考えて、自分はNISAでオルカン(全世界株式のインデックス)に回す方がよさそうだと判断し、そちらへ振っています。
どちらが有利かを言えるものではありません。手元にいくら残したいか、生活防衛資金をどう見るかで変わります。自宅のローンについては団信との関係で別の考え方をしています(繰上返済は、得だからやっているんじゃない。団信で消えない方から返している)。
売るなら2031年
いまは売りません。 ただし「ずっと売らない」ではなく、待つ理由があります。
不動産を売ったときの税金は所有期間で区分が変わり、国税庁のタックスアンサーNo.3202では、長期譲渡所得は「譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもの」とされています。
基準日は「譲渡した年の1月1日」で、「取得から5年経った日」ではありません。
自分は昨年6月の取得です。2030年に売ると1月1日時点で4年7ヶ月=短期、2031年なら5年7ヶ月=長期になります。「5年経ったから」と2030年の夏に動くと、まだ短期のままです。
FP3級で出てきた区分ですが、自分の売却時期を考えるときに初めて、実際に使いました。
いま持っている人が、できること
自分が今回やったのは、この3つでした。
- 契約条件を確認する。 5年ルールがあるか、繰上返済の最低額はいくらか。通知が来てから調べました
- 周辺の相場と、自分の部屋の賃料を突き合わせる。 買った会社にも市況を聞きました
- 売る場合の期限を決めておく。 自分は税制の区分で2031年に置きました
慌てて売る前に、返済・家賃・空室・維持費・今の売却価格を、同じ紙に並べる。 並べてみると、ニュースを見たあとに何を確認すればいいかは、かなり見えやすくなりました。
今回分かったこと
- 金利上昇で最初に変わったのは返済額ではなく内訳。5年ルールで支払いは据え置きでも、元金の減りは遅くなる
- 金利は通知で動く。賃料は請求できても話し合いが要る。 このスピード差は持ってみるまで分からなかった
- 大阪市の単身向け賃料は成約ベースで前年比+4.5%。余地はあっても、入居中は自分の都合だけでは動かせない
- 繰上返済は最低100万円という条件でやめ、NISAへ回した。売却は長期譲渡になる2031年まで待つ
まだ埋まっていない数字が、ひとつあります。
今、実際にいくらで売れるのかです。査定はまだしていないので、持つか売るかの判断表は完成していません。 2031年まで待つつもりではいますが、それまで何も見ないというのも違う気がしています。
この記事の前提
- 試算は「借入残高1,500万円・残存20年・元利均等・ボーナス返済なし・金利+0.5%」を置いたものです。残高・期間・開始金利・返済方式が変われば結果は変わります(元金均等なら125%ルールの適用もありません)
- 5年ルール・125%ルールの説明は住宅ローンの用語解説によるものです。投資用ローンに一律で付いているわけではありません
- 大阪市の賃料は市場全体の指数で、個別の物件で値上げできることを保証するものではありません
- 税額・税率は書いていません。個別の判断は税務署や税理士へご確認ください
- 不動産の購入・売却を勧めるものではありません


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