50代の会社員です。昨年、大阪にワンルームマンションを一室、買いました。決して小さくない買い物で、これから長く付き合っていくことになる決断でした。今日は、その判断をめぐって、自分がAIとどう付き合ってきたかという話です。
一つの肯定的な答えに、少し背中を押されていた
その物件を検討していた頃、考えを整理したくて相談した相手の一つが、AIでした。当時の自分にとって、AIといえばChatGPTでした。仕事でも個人でも、何か調べたい、頭の中を整理したいと思ったら、まずそこに聞いていました。
買うかどうか、ChatGPTと何度もやり取りをしました。今振り返ると、返ってくる答えは、資産形成という面では、どちらかといえば肯定寄りだったと思います。そのやり取りを重ねるうちに、自分の中で傾きかけていた方向に、そのまま乗っていったところがありました。もちろん、最後に決めたのは自分です。ですが、あの時の会話が、判断の一部になっていたのは間違いありません。
今は、AIによって見え方が割れる
あれから時間が経って、AIをめぐる状況もずいぶん変わりました。今は一つのAIだけでなく、いくつかのAIを、その時々で使い分けています。外にいる時はスマホで、家では音声入力で、思いついたことをそのまま投げかける。すっかり生活の一部になりました。
先日、あの買い物と同じテーマについて、三つのAIに同じことを聞いてみました。ChatGPTと、Claudeと、Geminiです。そうしたら、返ってくる見立てが、そろわなかったんです。この時のChatGPTは、資産形成という面では肯定寄りの見方でした。一方でClaudeは、かなり慎重で、どちらかといえば否定寄り。Geminiも、慎重な見方に近いものでした。
同じことを聞いているはずなのに、力点の置き方がずいぶん違う。最初は少し戸惑いました。どれを信じればいいんだろう、と。でも、しばらく考えて、これはどれかが間違っているという話ではないな、と思うようになりました。同じ物事でも、どこに重きを置くかで、見え方は変わる。これはあくまで、あの日の一回のやり取りで起きたことです。それでも、一つのAIだけを使っていた頃の自分は、こういう「割れ方」があること自体を、あまり意識していませんでした。
答えを増やすのではなく、次の質問を変える
意見が割れているのを見て、自分がやったのは「どのAIが正しいか」を決めることではありませんでした。二対一だから否定、と多数決で決めるのも、なんだか違う気がしました。
今思えば、買う前の自分の質問は、どこかで答えが決まっていました。「この買い物は正しいか」と聞く時、心のどこかで「正しい」と言ってほしかった。だから、そう答えてくれるやり取りに、自然と気持ちが向いていたのだと思います。肯定的な見方に背中を押された、というより、自分がその答えを探して聞いていた、というほうが正確なのかもしれません。
そのことに気づいてから、質問そのものを変えてみました。それまでは「買ったものをどう評価するか」しか聞いていませんでした。そうではなく、別の置き方をしてみたんです。
この物件は、売らずに持っている限り、毎年、固定資産税の分だけは持ち出しになっているように感じていました。そこで、もし同じ額を、毎月コツコツ積み立てる投資に回していたら、何年か後にどうなっていただろう、と考えてみたんです。希望も込めて、年5%くらいで増えてくれたら、という仮定を置いて、自分なりに数字を並べて試算してみました。あくまで机上の、自分に都合のいい仮定です。
そうやって別の角度から並べてみると、これまで見えていなかった感覚が出てきました。その一つが、「安心感」という物差しです。数字が増えるか減るか、という話とは別に、どういう持ち方だと自分は落ち着いていられるのか。コツコツ積み立てるやり方のほうが、気持ちの上では楽なのかもしれない。そんな軸が、自分の中にあったことに気づきました。以前の聞き方のままでは、たぶん出てこなかった視点です。
面白かったのは、答えが増えたわけではない、ということです。AIを増やしただけでも、特別な機能を使ったわけでもありません。ただ、聞くことを変えただけで、同じ材料から違うものが見えた。AIは、こちらが投げかける問いの形に、そのまま応えてくれる相手なんだと、あらためて思いました。裏を返せば、こちらの問いが浅ければ、返ってくるものも浅いままだった、ということでもあります。
「まだ判断できない」を、そのまま残しておく
では、あの買い物は結局どうだったのか。正直に言うと、今もはっきりした答えは出ていません。
希望的に見れば、悪くない面もあります。家賃をこの先うまく上げていければ、状況は変わってくるかもしれない。一方で、慎重に見れば、気になることもある。金利がこの先どうなるのか、自分にはまだ読めません。三つのAIのうち、否定寄りだった二つの見方に、今はむしろ引っ張られている自分がいます。以前なら、肯定的な答え一つで「よし」と思って、そこで考えを止めていたかもしれません。
でも、それでいいと思っています。無理にどちらかに決めなくても、「まだ判断できない」という状態を、そのまま持っておく。反対の見方も、手元に残しておく。そのほうが、これから状況が変わった時に、落ち着いて考え直せる気がするからです。
AIは、聞けばすぐに答えを返してくれます。それも、なかなかもっともらしい答えを。だからこそ、最初の一つで満足して、そこで考えるのをやめてしまいがちです。以前の自分が、まさにそうでした。
今は、最初の答えを受け取った後に、「次は何を聞こうか」と考える時間を、少しだけ持つようにしています。反対の見方はないか。質問の角度を変えたらどうか。その一手間が、AIを「答えをくれる機械」から、「一緒に考える相手」に変えてくれる気がします。
最後に決めるのは、やっぱり自分です。三つのAIが何と言おうと、答えを預けてしまわない。急がせる前に、次に聞くことを一つ用意しておく。それくらいがちょうどいいのかな、と、最近は思っています。
AIとの付き合い方については、以前「AIがFAQを作る時代、人が最後に決める4項目」という記事でも書きました。あわせて読んでいただけると嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました😊


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