毎年、年末調整の紙に保険料の金額を書き込む欄があります。
あの欄を埋めているとき、自分はなぜか、少し得したような気持ちになっていました。
この記事で分かること
- 「入らにゃ損」で入っていた保険を、何を物差しにして見直したか
- 4本やめて、月にどれくらい変わったか
- それでも、1本だけ決められずに残っているもの
年末調整のあの欄で、得した気になっていた
書く欄がある。だから埋める。埋めると、税金が少し戻ってくる気がする。
保険の勧誘でも、そこを言われました。控除の枠がありますよ、と。そう言われると、せっかく枠があるなら使わないといけないのかなと思ってしまう。
正直に書くと、当時の自分の気持ちは「入らにゃ損」でした。
そもそも、入っていた保険はどこで入ったのか。
クレジットカード会社から、ライフプランを作りますという案内が来たんです。そこで紹介されたFPの方に、家計の見通しを作ってもらいました。そのときに提案された保険に、いくつか入りました。
当時は、親切だなと思っていました。無料で、時間をかけて、丁寧に作ってくれる。
ただ、あとから考えるようになったことがあります。無料で提案を受けられる仕組みの裏側には、提案する側の収益もあるはずだ、と。誰かが悪いという話ではありません。そういう構造なのだと、後になって気づいたというだけです。
4本で、月約2万円払っていた
そのあとFP3級の勉強をして、加入していた保険を並べ直しました。
結果として解約したのは、この4本です。
| 種類 | 対象 |
|---|---|
| がん保険 | 自分 |
| がん保険 | 妻 |
| 投資性のある保険 | 自分 |
| 個人年金保険 | 自分 |
合わせて、月におよそ2万円。
がん保険に入っていた理由は、はっきりしています。自分の家系はがんになりやすいと感じていたからです。だから、備えておかないと不安でした。
ただ、並べてみて気づいたことがありました。
住宅ローンにも疾病の保障が付いていた。そして公的な医療保険にも、高額療養費制度という仕組みがある。自分が備えているつもりだったところに、別の備えが重なっているのではないか。
もちろん、住宅ローンの保障には適用の条件がありますし、公的な制度にも対象にならない費用があります。「がんになれば必ずローンがなくなる」「医療費がかからなくなる」という話ではありません。
それでも、重なっている部分があるなら、そこは考え直してもいいのではないか。そう思いました。
4本やめて、月におよそ2万円。この分を、貯蓄や投資に回す余地ができました。
(以前、固定費という切り口で家計を全部見直したときの話は、FP3級を取ったら固定費が気になりすぎて、家計を全部見直した話に書いています)
保険を「相互扶助」という物差しで見直した
見直すときに使った物差しは、ひとつだけでした。
確率は低いけれど、起きたときの損失を自分の貯蓄では負えないもの。それを、みんなで出し合って支える。
これが、自分がFP3級の勉強で受け取った「相互扶助」という考え方でした。保険の厳密な定義という意味ではなく、自分が判断に使うことにした基準です。
この物差しで見ると、見え方が変わりました。
そもそも、公的な健康保険自体が、保険料を出し合って医療費を支える大きな仕組みです。民間の医療保険は、その足りない部分を補う位置づけになる。
少しだけ専門的な話:高額療養費制度
医療機関や薬局の窓口で払う保険診療の自己負担が、ひと月の上限を超えたとき、超えた分が支給される制度です。上限は年齢や所得によって変わります。ただし差額ベッド代や食費、先進医療など、対象にならない費用もあります。
→ 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
そして、ここは正直に書いておきたいのですが。
この制度自体が、これから変わります。
厚生労働省の案内によると、令和8年8月と令和9年8月の2段階で、月額の上限が見直され、あわせて新しく「年間上限」が設けられる予定です。長く治療が続く場合には、むしろ負担が軽くなるケースもあるようです。
つまり、自分が解約を判断したときの前提も、ずっと同じではないということです。
一度決めたら終わりではなく、制度が動けばまた考える。そういうものなんだと思っています。
積み立てているのに、途中でやめると減っていた
4本の中で、いちばん引っかかったのは個人年金保険でした。
積み立てているはずなのに、途中で解約すると、それまで払った合計を下回る契約だったんです。保障も付いていましたが、満期まで持たないと減ってしまう。
そこで思ったのが、「これはどこで、どう運用されているのだろう」ということでした。中身が自分にはよく見えなかった。
投資性のある保険も同じでした。保障のための費用と、運用のための費用が、ひとつの商品の中に入っている。分かれていないので、自分が何にいくら払っているのかが分かりにくい。
それと、もうひとつ。年末調整のあの欄について、勉強して初めて知ったことがあります。
少しだけ専門的な話:生命保険料控除
払った保険料が、そのまま返ってくる制度ではありません。一定の計算で求めた控除額を所得から差し引いて、そのうえで税額を計算する仕組みです。契約の時期や保険の区分によって、計算の仕方も変わります。
→ 国税庁「生命保険料控除」
枠を埋めれば得、と感じていたものの正体は、これでした。仕組みを知らないまま、得した気になっていたわけです。
その物差しでは、決められない保険が残った
ここまで書くと、きれいに整理がついたように見えるかもしれません。
でも、残っているものがあります。医療保険です。自分の分と、妻の分。
妻の分は、65歳までに保険料を払い終える契約です。自分がいなくなった後のことも考えると、いまこの保障を外したくない。そう考えて、妻の分は残すと決めています。これはもう迷っていません。
問題は、自分の分です。
やめようかと、何度か考えました。ここまで書いてきた物差しに当てはめれば、答えは出そうな気もします。
それでも、決められない。
この保険に入ったのは、父を亡くした時期でした。
病気というものが、急に自分の話になった。加入する年齢が保険料に影響すると考え、少しでも若いうちに、と思って入りました。
つまりこれは、確率と損失を並べて選んだ保険ではないんです。怖かったから入った。それだけです。
保険に入った当時の自分が間違っていたとは思いません。ただ、控除の枠を使うことと、その保険が自分に必要かどうかは、別の話でした。
理屈で入った保険ではなかったから、理屈だけでは切れない。それでも、なぜ入ったのかまで分かった今なら、前よりは自分で決められる気がしています。

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